住人n.sの日々のこと
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血がダラダラ。
評価:
よしもと ばなな
文藝春秋
¥ 480
(2006-07)

読み返すと、人生のいちばんつらかった時期のことが
まざまざとよみがえってきます。
だからこそ、大切な本になりました。
〜〜中略〜〜
「なんでこんなつらいものを金を出してまで
読んでいるのだ!」と思ったかもしれないけれど、
この切なさはきっとなにか必要なものなのだと、
私はなんとなく思っていますので、許してください。
〜〜中略〜〜
私は「デッドエンドの思い出」という小説が
これまで書いた自分の作品の中で、いちばん好きです。
これが書けたので、小説家になってよかったと思いました。

(作者あとがきより)


ってよーー!
この本がどんだけ切ないか、
あなたにわかりますか!えー!?


痛すぎて切なすぎる短編が
これでもか、と入ってるけど
どれもすばらしく、良い。
良すぎて良すぎて
グッとくる文言をいちいちノートに書き写してしまうほど。

きらきらと光る鋭い刃物が
一番奥までグサッと刺さり、
こころを切り刻み、血がダラダラ流れる。
痛くて痛くてどうしようもなくて。
たすけてーと叫ぶのに、声も出ない。

そういう感じ。

でも、あとがきで作者の言うとおり、
あとになってわかるのです。
あの痛みはぜったいに必要なものだったと。
これまでの人生の痛みなんて
すり傷くらいのものだったのか、と思い知るのです。
そして、大きなカサブタがポロリととれる頃、
自分がそれまでとは似て非なる
別人になっていることに気づくのです。



最後の「デッドエンドの思い出」には
主人公にかなり感情移入しました。
どうしようもない気持ちの動きかたから
きっと目に映っているだろう空気の色、匂い
きっと浅くしかできないだろう呼吸の具合…
ひとつひとつが手に取るように
肌で分かる。分かってしまう。

今まで読んだ、
どのよしもとばななよりリアル。
何度も読み返した。
自分の胸がギューって締め付けられるのを
感じて、生きている実感を得た。

闇を知るからこそ、光がまぶしく感じる。
つらい日々を乗り越えたひとにしか
感じられない、
なんでもない「しあわせ」がつまってる。

さらに、ひとつ発見が。
こんなことを書くのもはずかしいけど、
すっかりカサブタもとれた最近のわたしって
もしかして「西山君」にそっくりでは。

喜怒哀楽がありのままな具合とか。
なぜだか異性が複数寄りついてくる感じとか。

彼の店「袋小路」は、なんだか「鍵穴」です。
人が語るわたし像はまるで「西山君」なのです。
公共のものっぽいのに孤独な感じ。

けして自意識が過剰なわけではないと思う。
だってこんなぴったりとくる共感は、
数々の読書経験において初だもの。

このとてつもなく悲しい小説の、
それだけが唯一の大きな救い。


| 読んだ本 | 00:25 | comments(0) | trackbacks(0)
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